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詐欺のペテンとはどういうものなのか?



詐欺師の中の小悪魔、ペテン師とは?

ペテン師という言葉を耳にしたことがある人は多かれど、実際にその名で指差され罵られた経験がある人は少なかろう。
ペテン師とは、正確には詐欺師の一種なのだが、日常的に使われる場合は、若干意味合いが違って聞こえる。

これは、ペテンという言葉の響きがなんとなく可愛らしく聞こえること、さほど犯罪性が高くないという錯誤に基づく認識であろうと思われる。


ペテン師と言えば、結局のところ人を騙す者を指す蔑称であり、通常良い意味で使われることはない。

「詐欺」は、「巻き込まれ」たり「遭う」と表現するが、「ペテン」は「かけられる」と表現することが多い。
もともとは中国語から来ているとされる「ペテン」は、魔法のように思える言葉の響きがある。


魔法というのは、超常現象の一つであり、それを使うのは、本来は超常者であろう。


ペテンの程度にはそれなりの差があり、実際に法を犯すレベルで人を騙し陥れる者もあれば、日常生活のワンシーンにおいて人を謀るクセのある者もいる。

騙されたというよりも化かされているようにも感じられるペテンだが、その魔法を唱えてくるのは、ペテン師だ。


いずれにしても、もし自分がペテン師の呼び名で周囲に認知されてしまえば、今後いかなる日常的活動を営むにおいても、信頼の土台の上に胡坐をかくことは些か難しくなってくることは間違いない。

ペテンという不思議な言葉の響きとも相まって、日常においては超常者とも言える、小悪魔的な存在をペテン師だと思うのだ。



ペテン師は口がうまくなければならない

正式な意味合いにおいても、日常的な使用例においても、ペテン師というのは大変に上手なのである。

端から身分を詐称する詐欺師とは違い、ペテン師は騙したあとも、その場から消えることは出来ず、その人でなければならない。

つまり、ペテンとは、日常の延長の上に成り立つ錯誤でなくてはならないのだ。


よって、おだてたり、諭したり、理屈を説いたりしながら、対象者が自らの判断で騙されるよう、錯誤するよう、対象者の意識と行動を導いてゆく。

役者型の詐欺と違い、あくまでもペテン師本人の言葉として、日常の延長として語らなければペテンが成立しない。

また、それを行ったことで日常生活に影響しないようにダメージコントロールをしつつ、対象者をうまくのせていく必要がある。

そういう細やかな心の動きのコントロールを行うために、ペテン師は口がうまくなくてはいけないのだ。

ペテン師は小賢しくなければならない

「小賢しさ」は、「賢さ」と似た言葉に見えるが、それぞれ大きく意味が違う。

賢さとは、理論でしっかりと武装して、いかなる疑問にもちゃんと答えが出せるし、新しく発生した疑問にも基本となる考えがあって推論から答えを導く、そういう行動や考え方を生み出すための思考の基礎である。


対して、小賢しさというのは、どれだけうまくその場を切り抜けるかという、当意即妙の「技術」なのである。
だから、「詳しくないのでよくわからない」という答えでも、その人とその場合においては錯誤に役立つ。
この人ならそう答えても不思議ではない、と思われていればこの答えでも十分アリになるのだ。このような応酬を、理屈によってか本能によってか、うまく導くことができるのがペテン師の小賢しさなのである。



身近にもいるペテン師

ここでひとつ物の見方を変えてみよう。
そもそもペテン師とは具体的には何かという話である。

たとえば自宅に保険の販売員がやってきて、さして特筆すべき点もない平凡な保険商品を、さも前代未聞のお得商品だという風に宣伝し、まんまと契約にこぎつけたとしたら、それはペテン師ではないのか。

そもそも、全財産を騙し取られた、などという場合はペテンとは言わないことが多い。

これは、ペテン師の手口が、今そこにある金品を目的にしていることが多いからだ。


営業職・販売職で優れた手腕を発揮する者たちは、皆、腹の底で何を思っているかはさておき、自社商品がまたとない優れものであることをおおいに宣伝している。
優れた保険の販売員ですら、自分自身は全く別の他社の保険商品を契約しているかもしれないのだ。

これをペテン師と言わずに何と呼ぶのか。


例えば、今持っている財布のお金をすべて、ということであり、通帳や家・土地の権利書は、なかなかペテンの対象となりにくい。

コーヒー一杯、今月の生活費、欲しい商品を買うためのお金、こういったものを手に入れるためにペテンを行うのだ。


穿った見方をすれば、ペテン師と優れた営業職・販売員の違いは、法を犯しているかどうかだけの違いであるようにすら見える。

そこには、対象者から根こそぎ金品を奪うという覚悟はなく、あくまでも自分のために金品を用意する、という利己的な意志があるのみなのである。

ペテン師は、ある意味では詐欺師ではあるが、同様の意志を持って友人として日常生活に登場するそれは、ある意味可愛い、と思ってしまう。

騙された自分が悪かったかも?と思ってしまえる程度の被害であれば、友人関係の維持を考えるかもしれないし、小気味の良いトークと小賢しさが、人間的魅力と映っていることもあるだろう。


特に異性の友達であればその傾向はより強くなることだろう。

だからこそ、ペテン師は小悪魔的立ち位置なのだ、と言える。

そして、小悪魔は、いつだってコケティッシュな魅力があるものなのである。

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記事紹介

ペテン師は何を考えていて、何をしたいのか?

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