SanDragon

腐女子の自ジャンル

まずはじめに、私は生粋のオタクである。それも10年ほど前から腐っている。


つまりあまり大きな声では言えないが男の人と男の人が恋愛しているのを妄想するのが好きな腐女子という奴である。

オタクないし腐女子諸君にはそれぞれの「自ジャンル」というものがあり、簡潔に言うと今自分がハマっていて一番熱いアニメやらゲームやらのことを「自ジャンル」と読んでいる。ジャンルとは言うものの一般的に使われている「ジャンル」の意味とは違いもっと狭義的なものだ。
例を上げると「今の私のジャンルはNARUTO」など、アニメやゲーム、などの括りではなくジャンル=タイトルだと思ってくれていい。
ではなぜ「自“ジャンル”」というかと言えばその1タイトルの中で誰と誰を組み合わせるかというカップリングパターンが無限に広がっているからなのだと私は勝手に思っている。

私がヒプノシスマイクにハマるまで

話が逸れてしまったがそんな私の現自ジャンルは「ヒプノシスマイク」である。ヒプノシスマイクとは2017年より開始された「音楽原作キャラクターラッププロジェクト」(公式HPより引用)であり、簡潔に言えばキャラクターがいて、声優がラップをしてそのキャラクターに声を当てているのだ。

私がヒプノシスマイクに出会ったのは一昨年、2018年のことだった。すでにその頃から人気が
あることは知っていた。しかし生粋のオタクであった私は「ヒプノシスマイク」、通称「ヒプマイ」に懐疑的な目を向けていた。

「オタクにヒップホップは鬼門だろ…」と思っていたのである。偏った私のヒップホップ像と言えばYO!YO!チェケ!金!酒!ドラッグ!というDQN御用達音楽ジャンルで、オタクがそこに足を踏み入れることはないと思っていた。ヒップホップとオタク、DQNとオタク、まさにヘビとカエル。場違いにも程がある。なぜこんなに流行っているのかわからない。ただしキャラクターの造形はとてもよかった。だから私は誠に失礼ながら「ヒップホップとか関係なくオタクの好きそうなキャラデザ出してきたからみんなキャラ萌えしてるだけなんだな」などと思っていたのである。
だから私の友人がいくらヒプマイを私に勧めようが「はいはい」と流していたのでいた。すまん、友よ。

しかし私の友人は強かった。毎日のように私にヒプマイの公式YouTube動画のURLを送りつけ、Apple Musicに入っているからとダウンロードを迫り、家に行けば毎回DVDを見せられた。そんな風にヒプマイを全身に浴びせられてしまった私はある日キマってしまう。

「は?ヒプマイ、曲良すぎか?」
なんとオタクがラップを口ずさむようになってしまった。人気の秘訣をただのキャラ萌えなどで片付けてしまっていた自分を恥じた。ヒプマイの真髄は「曲の良さ」だった。それもそのはず、ヒプマイの曲提供は実際にヒップホップ界隈の第一線で活躍している現役ラッパー達が行なっているのである。(Zeebra、creepy nutsなど)

そして声優達のラップが、上手い。特に主役的立ち位置にいる山田一郎というキャラを担当している木村昴という声優のラップは、初めてDVDで見た時にその見た目も相まって「海外アーティストの来日公演かよ」と思った。
実はヒプマイは彼のラップへの情熱から生まれたコンテンツなのだ。ひとりのヒップホップ少年から生まれたヒプマイというジャンルがどんどん大きくなり、2019年には経済効果100億超え、2020年にはアニメ化、その人気は海外にも及ぶビッグコンテンツと成長した。熱い、熱すぎる。
オタクはそういうのが大好きだ。



オタクにとっての「推し」

オタクというのは自分の「推し」に対する財布の紐がゆるっゆるである。いや、もはや紐などない。ヒプマイという推しコンテンツを盛り上げるため、ヒプマイの中の推しキャラの為、日夜経済を回している。

ヒプマイがただの「声優が歌うラップ」コンテンツだったとしたら、ここまで人気は出なかったのでは、と思う。キャラクターがいるからこそ、推しもいる。推しいるところにオタクありけり。
キャラクター先行でラップという新要素を組み入れた製作陣、天才。

ヒップホップとオタク、ヘビとカエル。

また嬉しいのが、ヒップホップ界隈がヒプマイに対して好意的であるということだ。
私はヒプマイにハマったおかげで従来の偏ったヒップホップへのイメージを払拭することができた。
ヒップホップお兄さん達、超優しい。

ヒップホップとオタクという、今まで誰も考えてこなかったジャンルが成功したことは、オタクにとってもラッパー達にとっても新しい扉を開いたことになるのではないだろうか。
ヘビとカエルだって共存できるのだ。

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ライター紹介

腐女子を隠しキラキラ女子を偽装しながら街中に溶け込む25歳。
推しは碧棺左馬刻。

アーティスト紹介

@sandragon965

いろんな敵とこっそり戦う画家
とにかく、今の状況を脱するためにリアリズムという作品を制作することにした。(画家をしております。個展の案内はメールで配信します。登録はこちらです!!)
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