SanDragon

手軽な抗生剤内服は薬剤耐性菌を発生させる

ここ最近ニュースで「薬剤耐性菌」という単語を聞いたことはありませんか?

耐性菌とは抗生剤に対して抵抗力を獲得した菌種をいいます。
従来なら治療できた抗生剤がその菌種に対して使えなくなってしまうため、耐性菌が増えると今後治療として使用できる抗生剤がなくなるという恐ろしい事態を引き起こす可能性があります。
今回はその耐性菌についてメカニズムや対策についてご紹介していこうと思います。

薬剤耐性菌のメカニズムとは

細菌が長期間同じ抗生剤に暴露し続けると、細菌は様々な方法を駆使して薬剤暴露から逃れようとします。

薬剤を分解する酵素を作りだしたり、細胞外へ排出するポンプを作り出したり、薬剤が入り込まないように細胞膜を強化したり、ありとあらゆる手を尽くして薬剤に抵抗力を形成していきます。

そして、うまいこと抵抗性を得た細菌が細胞分裂していくと、従来の抗生剤では対応できない菌種がすさまじいスピードで体内、対外に散らばり増えていきます。
結果、抗生剤に抵抗力を持った菌が優先的に生き残り、従来は使用できていた抗生剤が効かないということが起こってしまいます。



薬剤耐性菌の恐ろしさとは

薬剤耐性菌が検出されると抗生剤での治療が非常に難しくなります。
特に高齢者で重症疾患を持っているようなケースで薬剤耐性菌が発見されることが多く、そのため死亡率も高くなっています。

米国では年間3.5万人、ヨーロッパでは年間3.3万人患者が死亡しており、2050年には世界全体で年間1000万人に達する見込みとなっています。

国内でも、年間8000人が死亡しており今後死亡者が増えていくことが予想されています。
もし、体内に耐性菌が発生したとしても、体調がよければ特に自覚症状など何もないと思います。
体が弱ってきて、その時に保菌していた耐性菌が一気に増殖し重症感染症を引き起こすと最悪死亡することもあります。

耐性菌を防ぐためには

ここまで耐性菌の恐ろしさをお伝えしてきましたが、耐性菌をこれ以上増やさないための注意をお伝えします。
耐性菌を増やさないための鉄則は手頃な抗生剤を適当に自己判断で服用しない、ということとなります。

軽い咽頭炎や膀胱炎などで病院に行くほどでもないというときに、以前医師より処方された抗生剤の残りを手軽に飲んでみる、ということはやめましょう。
医師は原因菌を考慮しながらその症状に合う抗生剤を選択してくれるので、抗生剤を処方してほしい時は医療機関を受診することを心がけましょう。

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ライター紹介

病院薬剤8年目、漢方や抗生剤など様々な分野について日々勉強に励んでいます。

アーティスト紹介

@sandragon965

いろんな敵とこっそり戦う画家
とにかく、今の状況を脱するためにリアリズムという作品を制作することにした。(画家をしております。個展の案内はメールで配信します。登録はこちらです!!)
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