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理想の上司としてのシャアについて

※初めに、この記事は機動戦士ガンダムのネタバレがありますのでご注意ください。


シャア・アズナブルは、復讐に燃える亡国の王子として、また理想に燃える政治家として描かれるキャラクターです。
シャア・アズナブル


赤い彗星と呼ばれる圧倒的存在感、そして美青年でもあり、男女問わない人気を得ています。

その劇中の活躍からガンダムキャラのみならず、アニメキャラ談義、更にはビジネス関連においても理想の上司像としてピックアップされる事があります。

本記事では、アムロのライバル・赤い彗星として知られるシャアの、政治家としての側面を追っていきたいと思います。



伝説の「ダカール演説」

ネットで検索すれば、彼の名言や演説集などを見ることが出来ます。

その言葉一つ一つには重みがあり、また真摯です。特にクワトロ・バジーナとして行った「ダカール演説」は、声優・池田秀一氏の熱演も有り、ファンの間では半ば伝説と化しています。この演説は、ガンダムの続編であるZガンダムのワンシーンです。

Zガンダムでは、地球連邦軍の内部で結成された過激部隊「ティターンズ」と、それに対抗する為に結成された組織「エゥーゴ」の対立があります。クワトロ・バジーナとは、エゥーゴにおけるシャアの偽名という事になります。

このダカール演説の中でクワトロは、故人である父「ジオン・ズム・ダイクン」の理想を受け継ぎ、前作の敵国であったジオン公国、そして現在の地球連邦軍のあり方を否定し、地球の環境保全と、宇宙と人類の可能性について語りました。

この演説は作中の人物のみならず、視聴者の心も鷲掴みにした名演説の一つです。



清廉潔白だけではないあり方

この演説において、クワトロ自身の人物像も人々に刻み付けました。この演説は議会を占拠して行われていたからです。関係のない人も巻き込み、強引に議会を占拠し崇高な演説を行ったとしても、人はその暴挙を見逃さないでしょう。
しかしクワトロは、敢えて自らの非について「我々も悪い」と言及します。

そこから地球連邦軍の行き過ぎた非道さを訴えることにより、人々と共に進化していける可能性を訴えたからこそ、クワトロの言葉にはこれ以上ない説得力を持って人々の心に刺さるのです。

時に清廉潔白のままではいられない事もあるけれども、人の心の中にある理想は決して手放しはしないという、クワトロの想いの証左とも取れるシーンです。
必要に応じて、柔軟に人々を導いていく指導者としての素質がここに表れている訳です。



等身大の一青年の心

このように考えた時、堂々とした佇まいに加え、理想に燃えるシャアの姿は理想の上司として支持されるのも納得が行くでしょう。しかしシャアの最期を鑑みると、それだけでは終われません。

初代ガンダムにおいて、シャア、アムロ、そしてララァ・スン、三人の関係性は有名でしょう。ララァを間に置いた人間関係が悲劇を生みました。

逆襲のシャアでは、ついにシャアとアムロの関係に終止符が打たれますが、このラストシーンにおいてシャアがララァについて「私の母になってくれるかもしれなかった女性」と口にしているのです。そしてそのままシャアの消息は不明になってしまいます。

実際にシャアはララァに対し、母として求めていたのではなく、心の拠り所としていたのでしょう。
理想に燃えたシャアの最期がこのようなものであったことは衝撃的ではありますが、だからこそ彼本来の姿が見えてきます。

高い理想を捨てきれず、自分を誤魔化しながら失ったものを追いかけ、それでも本音を零してしまう、どこにでもいるような素朴な青年の姿を描いているのです。

理想の上司としてクローズアップされるシャアではありますが、その本当の姿はこのようなありふれた一人の青年であったと思わずにはいられません。

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ライター紹介

ニッチなロボットアニメ好き。
Zガンダムではイマイチぱっとしないジェリドを応援しています。

アーティスト紹介

@sandragon965

いろんな敵とこっそり戦う画家
とにかく、今の状況を脱するためにリアリズムという作品を制作することにした。(画家をしております。個展の案内はメールで配信します。登録はこちらです!!)
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